【内覧会のご案内】土地の記憶を受け継ぎ、暮らしで仕上げる「器」。「ケヤキと共に暮らす家」がまもなく竣工します。


こんにちは。カワムラアーキテクツの川村です。
以前よりブログでも進捗をお伝えしておりました、新築住宅「ケヤキと共に暮らす家」がまもなく竣工の運びとなります。
このたび、お施主様のご厚意により完成見学会(オープンハウス)を開催させていただくことになりました。

今回は、この住まいに込めた設計の想いと、見学会の見どころについて少しお話しさせていただきます。
1. 土地の記憶を受け継ぐ「ケヤキ」と共に
この住まいの名前にもなっている「ケヤキ」。実はこの木は、以前からこの土地に根を下ろし、ご家族の歴史を静かに見守ってきた既存の樹木です。
建て替えの計画を進めるにあたり、私たちはこの立派なケヤキを伐採するのではなく、新しい住まいのシンボルツリーとして残す決断をしました。
春には瑞々しく芽吹き、夏には室内に心地よい木漏れ日を落とし、秋には美しく葉を染める。その大きな枝葉は、親世代と子世代という2つの世帯を、程よい距離感で優しく包み込む「大きな傘」のような役割を果たしてくれます。
土地の記憶をそのまま受け継ぎ、そこに新しい日々の営みと風景を重ねていく。それが「ケヤキと共に暮らす家」の出発点です。

2. 完成された「箱」ではなく、暮らしで仕上げる「器」
リビングに入りふと見上げると、天井には無垢の垂木(たるき)が連続しています。
屋根を支える木の骨組みをあえて隠さずに見せることで、空間全体が静かに深呼吸しているような、ごまかしのない「正直な姿」が現れました。
お化粧をしたような過度な演出は避け、素材そのものが持つ「生成り」のような自然さを大切にしています。
ここは、引き渡しの瞬間がピークとなる完成された「箱」というよりも、これからの暮らしが入り込むことでゆっくりと仕上がっていく「器」です。ケヤキの木漏れ日が無垢の木肌に落ちる様を眺めながら、ゆったりとした時間の流れを感じていただけるはずです。

3. 素材の正直な姿と、手仕事の温もり
足元には、柔らかく温もりのある杉の無垢材を敷き詰めています。そして、空間に柔らかな質感を添えている一部の漆喰壁は、なんと**お施主様ご自身による施工(DIY)**で仕上げられました。
ご家族の手で直接壁を塗るという「手仕事」の痕跡が、この家に唯一無二の愛着と温もりをもたらしています。差し込む光の角度や季節の移ろいによって、木目や漆喰のコテ跡が豊かな表情を見せてくれます。

4. シルバーアクセサリー作家「Ru* silver」様のアトリエ
そして、この「器」の中に内包されているのが、お施主様であるシルバーアクセサリー作家「Ru* silver」様の専用アトリエです。
Ru* silver様は、銀粘土(アートクレイシルバー)を用いて「大人カワイイ」純銀アクセサリーを手がけられ、ご自身の「わたし時間」を大切にするレッスンも主宰されています。自邸の壁をご自身で塗るほど手仕事を愛する作家様が、創作に没頭できるよう、光の入り方や作業動線に徹底的にこだわって設計しました。
当日の実際の作品展示はございませんが、無垢の木や漆喰と同様に、使い込むほどに味わいを増す「シルバー」という素材と向き合うための、美しく静謐なクリエイティブ空間は必見です。
(Ru* silver様の素晴らしい作品やレッスンの様子は、ぜひ公式HPをご覧ください)
🔗 Ru* silver 公式ウェブサイト

5. チームで創り上げた住まい
このプロジェクトは、私たちカワムラアーキテクツだけでなく、多くの専門家とのチームワークによって形となりました。素晴らしい技術とサポートで支えてくださった皆様に、この場を借りて感謝申し上げます。

■ Project Team ■
・設計監理:カワムラアーキテクツ 川村浩二
・構造設計:STL 磯辺聡
・施工:かしの木建設 黒川靖彦・吉田雄治・山本直樹
・造園(2期工事):季織苑 時松克史・時松淳子
・ローンコンサルティング:アラウンドアーキテクチャー 佐竹雄太・久保田泰世

オープンハウス詳細・お申し込み
家づくりをご検討中の方はもちろん、アトリエのある暮らしや、2世帯住宅の程よい距離感のつくり方など、たくさんのヒントをお持ち帰りいただける機会となっております。
ぜひ、実際の空気感を感じにいらしてください。
• 日程: 3月8日(日)
• 時間: 10:00〜17:00(※予約制)
• 場所: 千葉県市川市(プライバシー保護のため、ご予約いただいた方に詳細な住所をご案内いたします)
【ご予約方法】
見学をご希望の方は、弊社HPのお問い合わせフォームより、以下の項目をお知らせください。
1. お名前
2. 参加人数
3. ご希望の時間
4. 当日連絡のつくお電話番号
皆様にお会いできることを、心より楽しみにしております。

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担当作が2件掲載! エクスナレッジ新刊『最高の家』とカワムラアーキテクツの原点


先日、前職である彦根建築設計事務所の彦根明さんより一冊の本を頂きました。
2026年2月にエクスナレッジから出版されたばかりの新刊、その名も『最高の家』です。
彦根さん、出版おめでとうございます。そして、貴重な著書をご恵贈いただき、心より感謝申し上げます。

この本は、単なる建築作品集ではありません。
家が完成するまでのプロセスや、その後の暮らしぶりが、美しい写真と文章、そして彦根さんならではの繊細なコンセプトスケッチと共に紹介されています。
それぞれの家族に寄り添った「最高」の形が丁寧に描かれており、これから家づくりを考える方にとって、非常に読み応えのある一冊となっています。

実はこの本に掲載されている12の物語のうち、私が担当させていただいた作品が2件含まれています。
巻末の担当者一覧にも、私の名前(川村浩二)を記載していただきました。
当時、お施主様の想いを形にするために細部までこだわり抜き、現場と何度もやり取りを重ねた日々が思い出されます。
今回改めて書籍としてその結晶を眺めると、当時の苦労よりも、良い家をつくり上げた達成感と誇らしさが込み上げてきます。
建築家として育てていただいた日々に、改めて感謝の念を抱きました。

長いアプローチのある家
水盤のある家

私が現在主宰するカワムラアーキテクツの設計活動においても、この「最高の家」をつくる精神は色濃く受け継がれています。
• 土地のポテンシャルを最大限に引き出すこと
• お施主様のライフスタイルに深く寄り添うこと
• 細部のディテールまで徹底して美しく納めること
前職で培ったこれらの経験と技術は、現在の私たちの事務所の「核」となっています。
独立後も変わらず、むしろより一層の情熱を持って、目の前のお客様にとっての「最高の家」を提案し続けています。

本屋さんで見かけた際は、ぜひ『最高の家』を手に取ってみてください。建築の奥深さと楽しさに触れられるはずです。
そして、この本に載っているような、
「物語のある家づくり」
「設計密度の高い、心地よい住まい」
にご興味を持たれた方は、その系譜を受け継ぎ、
新しい風を吹き込むカワムラアーキテクツのドアを叩いてみてください。
あなただけの「最高の家」を一緒につくりましょう。

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雪見障子が切り取る、静寂という風景


先日は千葉・美浜では珍しく、雪が積もりました。
皆様の地域ではいかがでしたでしょうか。
ここ「美浜のコートハウス(アトリエ)」も、今日はいつもとは全く違う表情を見せています。
写真は、和室の雪見障子からの景色です。
普段は穏やかな光を透かすだけの障子ですが、下半分にあるガラス部分の孫障子(まごしょうじ)を摺り上げることで、そこには劇的な変化が生まれます。
雪の白さと、障子の桟(さん)が描く幾何学的なライン。
そして、その奥に広がる有機的な木々の姿。
建築において開口部は単に光や風を取り込むだけでなく、風景をどう「切り取る」かという装置でもあります。
全面ガラス張りで外と一体化する開放感も素晴らしいですが、こうして建具によって視線を制御し、見たい景色だけを選び取る行為には、日本建築特有の奥ゆかしさと、ある種の「作為的な美」を感じずにはいられません。
しんしんと降る雪の音さえ聞こえてきそうな、静寂の時間。
温かいお茶を飲みながら、畳の上で低く座り、切り取られた白い世界を眺める。
忙しない日常の中で、ふと立ち止まり、こうした静謐な時間に身を置くことも、豊かな暮らしには不可欠な要素だと改めて感じさせられます。