【ケヤキと共に暮らす家】完成!お施主様と「季織苑」さんとで育む、生命力溢れる庭

千葉市の樹木園「イシイ・グリーン」さんでの植栽選定から数週間。先月末に無事に外構・造園工事が完了しました!
今回は、その植栽工事の様子と、ついに完成した外構の表情をお伝えします。

植物を迎えるための足元のしつらえと、繊細な素材のコントラスト

現場では木々を迎える準備として、まずは駐車スペースから玄関へと続くアプローチのベースとなる工事が進められました。

駐車スペースの足元に敷き並べたのは、300×600サイズのコンクリート平板です。コストとデザインのバランスを丁寧に吟味し採用したこの素材は、規則正しく敷き詰められることで空間に端正な表情をもたらします。

一方で、そこから玄関へと続くメインアプローチには「土間コンクリートの洗い出し仕上げ」を採用しました。

洗い出し仕上げとは、表面のセメントが固まりきる前に水で洗い流し、中に伏せ込まれた骨材(砂利)を美しく露出させる手法です。職人さんの感覚と手仕事が光る、非常に繊細な仕上げです。

コンクリート平板のソリッドで端正な表情と、洗い出し仕上げの細やかで有機的なテクスチャー。この二つの素材が足元で織りなす静かなコントラストが、空間を引き締め、豊かなリズムを生み出してくれます。この「端正な余白」が整うことで、これから植えられる木々の生命力がいっそう際立つのです。

現場への到着、そして植樹の喜び

イシイ・グリーンさんから届いた、根巻きされた木々。青いシートの上に瑞々しい緑が広がり、現場は一気に土の匂いと新鮮な生命力に包まれました。


(動画:造園パートナー「季織苑」さんによる、丁寧な植栽作業の様子。)

緑の間を縫うアプローチと、視線の先にある風景

そして、ついに外構が完成しました。

今回、アプローチの設計には特にこだわっています。道路から玄関へと向かう道筋は、新しく植えられた樹木の間を縫うように、あえてクランクさせて距離感を持たせました。一歩進むごとに緑の表情が変わり、敷地の中に心地よい奥行きが生まれます。

そうして樹木の間を抜けた先、視線の正面にはアトリエの出窓がすっきりと現れる配置にしています。建築の端正な開口部が庭の緑に切り取られ、日々の往来に美しいシークエンス(視線の移り変わり)をもたらしてくれます。

具体的な樹種の紹介:四季を彩るシンボルツリーと常緑樹

ここで、この場所に根を下ろした木々たちを具体的にご紹介します。

シンボルツリー(落葉樹):ヤマボウシ
クランクするアプローチ沿いの主役として植えられたのは、動画にも登場していた小さな白い花が可憐な「ヤマボウシ」です。季節ごとに白い花、瑞々しい新緑、美しい紅葉、そして赤い実が楽しめます。この家の顔として、四季折々の表情で住人と訪れる人々を優しく迎えてくれます。

玄関前目隠し(常緑樹):ソヨゴ
日々の暮らしを穏やかに包み込む目隠しとしては、葉が密で美しい「ソヨゴ」を採用しました。適度なプライバシーを保ちながら、豊かな緑が暮らしに彩りを与えます。

他にも、アオダモ、ヒメシャラといった落葉樹、そして多様な低木類が、元からこの敷地にあった大きなケヤキの木と寄り添うように植えられました。

これから育む、家族の庭

私たちが常に大切にしている「背景としての建築」という考え方。
静かな建築が背景となり、そこに今回植えられた木々の緑や、風に揺れる影が重なります。

外構・造園工事が完了し、ようやく「ケヤキと共に暮らす家」の全体像が整いました。これから、この木々が四季の移ろいとともに成長し、お施主様ご家族とともに、この場所を豊かに育んでいく。その姿を見るのが本当に楽しみです。

今回の家づくりを支えてくださった皆様、そして庭づくりを共に創り上げてくださったイシイ・グリーンさん、季織苑さん、お施主様ご家族に心から感謝を込めて。

【メディア掲載】Webマガジン『ekrea Parts』の特集インタビューを受けました

こんにちは。カワムラアーキテクツの川村です。

新緑が深まり、アトリエ(美浜のコートハウス)の前庭では、鮮やかなクリーピングタイムの花が一面に咲き広がり、豊かな緑に包まれる美しい季節を迎えました。

さわやかな晴天に恵まれた先日のこと。建築パーツ専門サイト『ekrea Parts』の特集インタビューのため、取材担当の方がこのアトリエへ足を運んでくださいました。そして先日、その特集記事が無事に公開の運びとなりました。

記事には、「住まい手の人生を引き立てる『器』をつくる」というタイトルを付けていただきました。当日はライターの方と対話を重ねる中で、私自身、改めて自らの設計思想の根源を見つめ直すような、静かな時間を過ごさせていただきました。

幼い頃、父に連れられて巡った美術館での原体験。そして、独立前に師から学んだ、自身の主張を押し付けるのではなく、住まい手の声に深く耳を澄ますことの大切さ。それらが今の「生活の背景としての建築」という私の軸を、どのように形作ってきたのか。

記事の中では、今年3月に竣工した「ケヤキと共に暮らす家」や、このアトリエの事例を交えながら、視覚的な雑音を削ぎ落とした「ノイズのない空間」についてお話ししています。

既製品ではどうしても生じてしまう隙間や違和感を解消する、ミリ単位の「造作」へのこだわり。そして、木目が美しいタモ材を用いたキッチンに見る、取っ手を極限までなくした「引き算の美学」。普段の図面や写真だけでは語りきれない、そうした素材選びの裏側やディテールの意図についても、丁寧に掬い上げていただきました。

家づくりを考えていらっしゃる方だけでなく、日々の暮らしを整えたいと感じている方にも、何か届くものがあれば幸いです。

お時間の許す時に、ぜひご一読ください。

▶︎ 特集記事はこちら:〈シリーズ_造作で住まい手の暮らしをかなえる人々27〉「深く耳を傾け、住まい手の人生を引き立てる『器』をつくる建築家」