言葉を編むように、家を編む

この夏、NHKで放送されたドラマ『舟を編む』を観ました。辞書をつくる人たちの、あの静かな情熱に胸を打たれました。

一つひとつの言葉の意味を確かめ、何度も議論を重ね、何年もの時間をかけて一冊を編み上げていく。誰かの暮らしの中で、いつかふと開かれるその瞬間のために。

その姿を見ながら、建築設計の仕事と重なって見えました。家づくりもまた、図面の線一本から始まり、素材を選び、寸法を調整し、職人さんと話し合いながら、少しずつ形になっていく“編む”ような仕事です。

完成したときには見えなくなってしまう部分に、実はいちばん多くの時間と手間がかかっています。でも、そうした見えない積み重ねこそが、人の暮らしを長く、やさしく支えてくれるものになる。

『舟を編む』の中で描かれていた、静かだけれど、確かな熱を持った人たちの姿を思い出しながら、私たちも今日もまた、ひとつの家を丁寧に編んでいきたいと思います。

いま手がけている「ケヤキと暮らす家」も、そんな思いを込めながら進んでいます。

休憩中の屋根屋さんをパチリ

ケヤキと共に暮らす家_基礎の配筋検査

先日、基礎の配筋検査に立ち会いました。
基礎の中に組まれる鉄筋は、家をしっかりと支える“骨”のような存在。この鉄筋を組む作業はすべて職人さんの手作業で行われています。しかも、住宅ごとにプランや構造が違うため、同じ図面はひとつとしてありません。毎回図面を読み取りながら、寸法を確認し、一本一本ていねいに組み上げていく、とても手間のかかる仕事です。

毎回配筋検査は、私たちに加えて構造設計者に入念なチェックをお願いしています。構造設計者が図面通りに正しく施工されているかを確認してくれることで、住まいの安心感が一段と高まります。

コンクリートを流し込んでしまえば、鉄筋はもう二度と見えなくなります。だからこそ、このタイミングでの検査はとても大切。職人さんの丁寧な手仕事と設計者・構造設計者のチェックが重なって、ようやく「ずっと安心して暮らせる家」へとつながっていきます。

これからも現場の様子を少しずつお伝えしていきますので、どうぞお楽しみに。